データが語る 令和高齢者の実像

健康管理に革命が起こる? カギはウエアラブル計測機器とAI

自分の数値を知ることが大事(C)日刊ゲンダイ

 一方、衣食住のうちの衣と住も、われわれの健康維持のために大きな役割を果たしています。ほかにも家族関係、仕事と通勤、睡眠、職場やご近所との人間関係なども、健康を大きく左右します。音やにおいだって、影響しているはずです。しかしそれらは科学的な実証が難しいため、あまり顧みられてこなかったのです。

 ところがここに来て、状況が一気に変わろうとしています。スマートウオッチに代表されるウエアラブル健康計測機器とAIの進歩によって、健康対策に革命が起きるかもしれません。

 ウエアラブル機器は、個人の健康指標(ストレス、睡眠、休息の質なども含めて)の変化を、分刻み、秒刻みで計測し、保存することができます。いわば個人の健康情報のビッグデータです。それをAIに読ませれば、各人にとっての最適な健康方法が導き出せるはずです。

 人工知能は物事の因果関係を説明するのに不向きですが、相関関係を抽出するのに適しています。それに従来の“科学的”手法で良いとされている健康法は、あくまでも統計的に有意かどうかという話に過ぎません。「あなたにとって」の最適な方法とは限らないのです。

 ウエアラブル機器とAIは、その限界を乗り越えるキーとなり得ます。次回から、それについて少し見ていくことにしましょう。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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