健康寿命という点では「実家通いの就職」が男子の勝ちパターン 医療情報学教授が語る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 それだけでなく、実家暮らしは健康面でのメリットも大きい。慣れない都会で1人暮らしとなれば、ストレスがたまるし、食事や生活が不規則になる。とくに入社数年間は給料が低いため、食費を節約せざるを得ず、栄養が炭水化物と脂質に偏ってしまう。

 大阪大の1人暮らしの学生が、実家通いの学生よりも太りやすいとの調査結果と同じだ。実家にいれば、栄養バランスを心配する必要もない。

 また、早く結婚する気がない男子にとっては、なおさら実家暮らしが有利になる。

 厚生労働省の人口動態調査を見ると、1人暮らしの独身男性は、妻帯者と比べて、早く死ぬリスクが明らかに高いことが分かる。妻がいる男性の死亡のピークは85~89歳。だが未婚者に限れば70~74歳だ。

 1人暮らしの未婚者の平均寿命は公表されていないが、男性全体の平均寿命(82歳)よりも数年(あるいは10年近く?)は短いと考えたほうがいいだろう。またそれだけ、生活習慣病などにかかりやすいと考えられる。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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