健康寿命という点では「実家通いの就職」が男子の勝ちパターン 医療情報学教授が語る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 それでも親は、息子の面倒を見なければならないので、気が張って、元気に生活できる。また息子は、将来的に親を介護し、看取ることになるから、自分の体調や健康には単身者よりも気を使うはずだ。こうしてウィンウィンの関係が成り立ち、親子とも長生きできるわけである。

■女性の健康リスクは結婚に左右されない

 そういうことを考えると、所得が低く抑えられているいまの時代、実家から通える会社に入るのが、男子にとっては健康寿命という点では勝ちパターンと言えそうである。

 経営者や人事担当者は、いまや人材も地産地消の時代に入りつつあると思ったほうがいい。

 ただし女性に関しては、こういうシナリオは成り立たない。というのも女性は結婚していようと独身であろうと、死亡リスクや健康リスクがほとんど変わらないからだ。東京都監察医務院のデータでも、女性の孤独死は男性の半分だし、人口動態調査でも、未婚女性の死亡曲線は夫と暮らす女性とほとんど変わらない。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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