「高齢者のがん治療」知っておきたい16のポイント 静岡がんセンター山口建総長が解説

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 特に、最後まで「家族の一員という居場所」があり、俳句集を出すという「生きがい」を持てたことが良かったと思っています。

 がんに限らず、高齢者が最後までQOLを保つのに重要なのが、居場所と役割です。これらをなくしてしまうと、本人は寂しく旅立ち、家族も、後悔しながら最期を看取るという状況が生まれてしまいます。

 がん患者というと、がん病巣にばかり目が行きがちですが、それ以前に一人の人間です。余命に限りがあっても、ご家族や周囲の人々が心をしっかり支えることで心豊かな死を迎えることができると思います。

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山口建

山口建

慶応義塾大学医学部卒。国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に勤務。内分泌部、細胞増殖因子研究部の部長などを歴任。1999年、同センター研究所の副所長、宮内庁の御用掛を兼務。静岡県立静岡がんセンターの設立に携わり、2002年、初代総長に就任し、現在に至る。著書に「親ががんになったら読む本」(主婦の友社)など。

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