「高齢者のがん治療」知っておきたい16のポイント 静岡がんセンター山口建総長が解説

■国が推奨するがん検診は、胃がん、子宮頚がん、肺がん、乳がん、大腸がん。高齢という「がんのリスクが高い世代」ではPETなどそれ以外のがんの検診も受けるべき?

 がん検診には、対策型検診と任意型検診があります。市町村や職場でのがん検診は対策型検診。受検者集団で当該がんの死亡率が低下する科学的根拠がある場合、公共政策として実施されます。高齢男性に多い前立腺がんの検診は、対策型検診として9割近くの市町村で実施されています。しかし、科学的根拠が不十分で、対策型検診としての実施には否定的な意見が大勢を占めています。

 任意型検診の代表は人間ドックで、受検者の希望に応じて実施されます。年齢に関係なく、受検者の希望によります。

 PETについては対策型検診に用いて良しとする科学的根拠はありません。当初全てのがんを発見できると喧伝されましたが、実際は消化管の早期がんには効果が弱く、全体で見てもがんの検出率は3割程度。他の検診と一緒に実施する必要があります。

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山口建

山口建

慶応義塾大学医学部卒。国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に勤務。内分泌部、細胞増殖因子研究部の部長などを歴任。1999年、同センター研究所の副所長、宮内庁の御用掛を兼務。静岡県立静岡がんセンターの設立に携わり、2002年、初代総長に就任し、現在に至る。著書に「親ががんになったら読む本」(主婦の友社)など。

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