「高齢者のがん治療」知っておきたい16のポイント 静岡がんセンター山口建総長が解説

■がん治療で入院となると、フレイル(虚弱)のリスクも増す?

 高齢者は数日の入院で筋力などが20~30%低下し、立ち居振る舞いに支障を来たしたり、食事が困難になったりすることがあります。また、がん治療後の体の回復は、元気な時よりも遅れます。積極的な手を打たなければフレイルのリスクが増します。

 そのため治療前後のリハビリテーションや口腔ケアなどフレイルを防ぐ処置を積極的に行い、回復を早める手だてを取ります。

 認知機能の低下やせん妄状態もがん治療を契機に起こるリスクがあり、その対策も重要な課題です。

■高齢であることをあまり意識せずに受けられる治療法はある?

 胃がん、大腸がん、食道がんといった消化管の早期がんに対する内視鏡治療や腹腔鏡下手術、照射可能な部位のがんで完治を目指す放射線治療などです。これらは、従来の方法よりは負担が少なく、高齢者でも治療に耐えることができます。

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山口建

山口建

慶応義塾大学医学部卒。国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に勤務。内分泌部、細胞増殖因子研究部の部長などを歴任。1999年、同センター研究所の副所長、宮内庁の御用掛を兼務。静岡県立静岡がんセンターの設立に携わり、2002年、初代総長に就任し、現在に至る。著書に「親ががんになったら読む本」(主婦の友社)など。

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