「高齢者のがん治療」知っておきたい16のポイント 静岡がんセンター山口建総長が解説

がん検診は何歳まで受けるべき?

■高齢者のがんは若い人より進行が遅い?

 ケース・バイ・ケースです。がんが発生し、診断されるまで10~20年かかっています。高齢者で発見されるがんは、時間をかけてゆっくり育っているので比較的悪性度が低く、進行も遅いと言えるかもしれません。

 一方で、がんは遺伝子にできた傷が原因で起こるので、年を取るに従い、遺伝子の傷は多くなります。長い過程で重要な遺伝子に傷が生じれば、年齢には関係なく悪性度の高いがんが出現します。実際、高齢者であっても進行が速いケースをよく経験しています。

■がん検診は何歳まで受けるべき?

 現在、がん検診に年齢制限はありません。ただし、利益・不利益の考えに基づき、一定の年齢以上のがん検診は積極的に実施しなくてよいとする意見はあります。けれども、がん罹患者の4割が75歳以上であることを考えると、高齢者の検診を制限することは当面、考えにくいと思います。

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山口建

山口建

慶応義塾大学医学部卒。国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に勤務。内分泌部、細胞増殖因子研究部の部長などを歴任。1999年、同センター研究所の副所長、宮内庁の御用掛を兼務。静岡県立静岡がんセンターの設立に携わり、2002年、初代総長に就任し、現在に至る。著書に「親ががんになったら読む本」(主婦の友社)など。

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