データが語る 令和高齢者の実像

腰痛・肩こりの改善と予防…「寝具」の研究が進まない理由

写真はイメージ

 これは日本だけでなく、どうやら世界共通のことのようです。ニューヨーク・タイムズやフォーブスなど、エリートビジネスマンが読むような新聞・雑誌でさえ、「腰痛にいいマットレス ベスト10」といった特集記事を、毎年掲載しているほどです。

 しかし、寝具と腰痛・肩こりの研究は、まだあまり進んでいません。過去の研究をまとめた論文によれば、マットレスは硬すぎず軟らかすぎずがいいということですが、それだけではあまり参考になりません。しかも、硬めのほうが腰痛を予防するという説も見受けられます。

 肩こりに関しては、低反発の枕がいいという結果が多く出ています。軟らかいコイルを内蔵したウレタン製の枕などが該当します。しかし、天然ゴムなどを使った、硬めの枕がいいとする説もあります。

 こうした研究には、動物実験は意味がなく、生身の人でやるしかないので、なかなか研究が進まないのです。しかも睡眠時間や仕事の内容など、寝具以外の個人差も大きいため、結果にはバラツキが出やすくなります。

 いまのところ、自分に合った寝具をなんとかして探すしかなさそうです。しかし、まともなものを買おうとすると、かなり値が張ります。“外れ”だったら大損です。そこで、短期のレンタルサービスがあるので安く試せる商品も見つかるかもしれません。ネットで検索してみてください。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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