データが語る 令和高齢者の実像

経済・教育格差が高齢者の健康格差を生む 日本も欧米並み?

健康への意識の高さと経済的豊かさは比例する

 その結果、男性では等価所得が100万円未満の要介護リスクが最も高く、400万円以上と比べて1.60倍になっていました。また教育年数が6年未満の階級は、13年以上と比べて、死亡リスクが約1.45倍も高かったのです。

 昨年来、インフレと物不足が深刻になりつつあります。コロナ以前、「これからの世界はあらゆるモノがコモディティー化(日用品化)し、低価格化競争にさらされて、タダ同然になる」といわれていました。

 それからわずか2~3年後の現在、食料品を含めた日用品が猛烈な勢いで値上がりしています。この冬、寒波の中で光熱費を節約している家庭も多かったはずです。

 こういう状況下では、ウエアラブルとAIとIoT家電で、健康的で快適な生活ができるのは、経済的に豊かな人に限られてしまいます。健康に良いとされる食材や効き目の高いサプリメント、専門のトレーナーが指導してくれるジムとなると、さらにお金がかかります。また経済的に余裕があったとしても、健康知識を得るための情報リテラシーが低ければ、さまざまなサービスを活用するのが難しいでしょう。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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