オーストラリア原産のセアカゴケグモが国内で初めて見つかったのは1995年、場所は大阪府高石市の工場敷地内でした。物流に乗って海を渡ってきたと考えられます。当初は「日本の冬を越せない」と言われていましたが、今では生息域を全国に拡げています。2020年時点で、まだ発見の報告がないのは秋田県と青森県だけですから、完全に日本の風土に馴染んで定着したと考えていいでしょう。
真黒なボディに、背中に砂時計型(個体によっては1本の縦縞)の真紅の模様が入っています。これは雌の配色です。雌は体長1センチ、脚も含めれば3センチほどですが、雄はその半分もありません。しかも目立たない薄茶色をしています。
「刺されると死ぬ」と報道されたため、一時は大騒ぎになりました。ただしクモには毒針がないので「刺される」ことはありません。顎の下の毒牙で「咬む」のです。セアカゴケグモの雌は、長さ1ミリほどの毒牙を持っています。しかし雄の牙は小さすぎて、人の皮膚を貫けません。人に健康被害をもたらすのは、もっぱら雌に限られます。
あなたを狙う「有毒」動物