「血液型」でがんのリスクが予想できる時代が近づいている

欧米の国々ではA型とO型で人口の9割近くを占めている(ニューヨークにあるセントラルパークで寛ぐ人々)/(C)ロイター
A型はO型より1.2倍胃がんになりやすい

 たとえば2010年に発表された、スウェーデンとデンマークの合同研究があります。両国の献血者データベース(血液型が分かる)とがん患者データベース(胃がんにかかった人が分かる)をマッチングさせたところ、A型はO型と比べて1.2倍、胃がんになるリスクが高いことが示されました。データ解析の対象になったサンプル数は、100万人以上でした。

 また2009年にアメリカの研究グループが、膵臓がんとの関係を調べた論文を発表しました。対象となったのは、病院に勤務するナース10万7000人(男性3万人、女性7万7000人)で、1996年からの10年間、延べ93万人に達するビッグデータでした。この研究では、O型の膵臓がんリスクを1とすると、A型1.32、AB型1.51、B型1.72という結果が得られています。つまりB型がもっともリスクが高く、O型と比べて2倍近く膵臓がんにかかりやすいことになります。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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