あなたを狙う「有毒」動物

なぜ公園でくつろぐ高齢者は蚊に刺されてもかゆく感じないのか

高齢者は痒くない?(C)日刊ゲンダイ

 蚊に刺されて腫れたり痒くなったりするのは、医学的には蚊刺症(ぶんししょう)と呼ばれています。蚊は吸血のために人を刺すわけですが、蚊の針(口吻)はたいへん細いため、そのままでは途中で血が固まって、詰まってしまいます。そのため針を肌に突き刺すと、最初に血液凝固を防ぐ成分を唾液に混ぜて打ち込んできます。血液をサラサラにして、吸いやすくするためです。ところが人体のほうが、この唾液に対するアレルギー反応を起こすので、蚊刺症の症状が現れるのです。

■赤ちゃんは蚊に刺されても腫れも痒みもない

 アレルギーの正体は免疫反応です。蚊の唾液に対する免疫反応には、4段階あることが分かっています。蚊との付き合いの長さに伴って、段階を踏んで反応が変化していきます。

 第1段階は生まれたばかりの赤ちゃんです。まだ刺されたことがないので、体内には蚊の唾液に対する免疫がありません。そのため乳幼児は蚊に刺されても、アレルギー反応が出ません。腫れも痒みもないのです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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